Eat the Rude.

NBC版ハンニバルを捏ねくりまわすよ

S3E13: The Wrath of the Lamb 美しい

S3E13の最後まで。

青字スクリプトにしかないセリフ・状況、赤字は映像にしかないセリフ・状況です

 ダラハイド、ウィルを抱え上げて割れた窓から室外の中庭へ放り投げる。ウィル、地面に落ちて石畳の上を転がる。石畳の上にウィルの血が飛び散る。ダラハイドがウィルに襲い掛かり、上から押さえつける
ウィル、銃を取り出すがダラハイドはすぐにそれを取り上げ、断崖に投げる。ウィルは頬からナイフを引き抜き、ダラハイドの脚に突き刺す。ダラハイド、ナイフを脚から抜きウィルの貝殻骨に突き刺し、そこを起点に両肩を引き上げ、ウィルの背中がしなる
 ダラハイドが背中をへし折ろうとするその時、ジャケットを脱ぎ捨てたハンニバルがダラハイドの背中に飛び乗り、ウィルを解放させる
ハンニバル、得意技でダラハイドの首を捻ろうとするが彼の首は頑健すぎる。ダラハイドはハンニバルを背中から振り落とし、中庭を横切って転がるハンニバルを追い詰める。その背中からは羽が伸びている。ハンニバルは石畳から材木の山に向かって転がり、片手斧を見つけ出す
 ウィル、自身の血まみれの肩からナイフを引き抜き、駆け寄ってダラハイドの背にナイフを突き刺す。ダラハイドは痛みと怒りに咆哮し、再びウィルに向き直る。ハンニバル、片手斧を自分のほうに引き寄せ、ダラハイドの背後にまわり彼のアキレス腱と膝に斧を叩きつける。裂ける肉と腱、獣じみた不気味な動き。ダラハイドは牡牛であり、傷を負ってもまだ闘志が漲っている。ウィルが与えた刺し傷を無視し、ウィルを叩きのめそうとするが、ダラハイドの片足が耐えられず膝をつく。ウィルとハンニバルは彼を注視する。この衝動に突き動かされた男、彼らの敵、そして彼らと等しい存在は、数多の傷口から出血し脚を破壊されながらも、何とか立ち上がる
 しかし背中に飛びかかってきたハンニバルの重みでダラハイドの脚が屈曲し、体勢がぐらつく。彼がウィルの動きを止めるにはすでに遅く、ダラハイドはウィルが自分の腹部に突き立てたナイフを見下ろす。ウィルがナイフを下に引き下ろすと血が噴水のように噴き出し、ダラハイドはウィルを蹴り飛ばしてナイフを内臓から引き抜く
ハンニバルは上体を反り返らせたダラハイドの咽喉に噛みつき、引きちぎる。ダラハイドの咽喉と腹から血液が噴き出し、背が弓なりにしなる。ウィルはハンニバルがダラハイドの背から落ちるのを見る。ダラハイドは咽喉から噴き出した血溜まりでふらつき、月を見ながら膝をつき、ついに仰向きに倒れ込む
 ダラハイドが息を吐くと咽喉から血の泡があふれ、ゆっくりと両目から命の火が消えていく。頭を傾け、ウィル・グレアムをじっと見たまま。彼を中心に両側に広がっていく赤い血は、レッド・ドラゴンが広げた赤い翼のよう
 ひどい傷を負ったウィルとハンニバルは脚を引きずり、死んだダラハイドの上で互いに視線を交わす。2人の男達の血、彼らの傷口から落ちる血は月明かりに黒々と光って見える

ちょっとここで止めて、ダラハイドとレッド・ドラゴンについて。ウィルやハンニバルと同種の存在であるダラハイド。ハンニバルはダラハイドの中にいたレッド・ドラゴンを「ウィルに受け渡せ」と唆し、ウィルの家族を殺させようとした(S3E11)。ウィルはダラハイドに「ハンニバル・レクターは君が変えなくてはならない」と焚きつけ、ハンニバルをドラゴンと融合させようとした(S3E13)。ダラハイドにとっての殺人は殺すための殺人ではなく、変化させるための殺人です(S3E11)。ダラハイドはハンニバルをドラゴンに変化させるために殺そうとしている。ではこの死闘を経て、結局ドラゴンは誰と同一化したのか?と謎だったのですが、下線部を読むとダラハイドが死んでいく過程でドラゴンの力と融合し、死ぬことで偉大なるレッド・ドラゴンになった、と考えるべきなのかなと思います。ウィルもハンニバルもドラゴンにはならなかった。そしておそらくはじめから、ドラゴンはダラハイドの中にしか存在しないのだとハンニバルもウィルも知っていた。

WILL: It really does look black in the moonlight.
ウィル:月明かりだと本当に黒く見える
- Hannibal staggers toward the edge of the bluffs and regards the ocean a moment before turning back to face Will.
 ト書き:ハンニバル、崖のほうへよろめいて進み、ウィルに向き直る前に一瞬海へ視線を向ける
HANNIBAL: See. This is all I ever wanted for you, Will. For both of us.
ハンニバル:見て。これがずっときみのために願ってきたものだよ、ウィル。私たち2人のために
WILL: It's beautiful.
ウィル:美しい
- A moment as Will considers the brutal pack hunting he shared with Hannibal Lecter. He genuinely feels it is beautiful.
 ト書き:ウィルがハンニバル・レクターと共有した残忍な、群れで行う狩りに思いを巡らす一瞬。彼は紛れもなくそれが美しいと感じている

国道沿いの襲撃からこの崖の家までウィルを連れてきたのがハンニバルなら、中庭から崖へ、そして海に落ちるまでをリードしてたのもハンニバルだったんだ...。

ハンニバルはS2E12で「狩りは野生の喜びだ。私たちはその喜びのために生まれてきた」と言い、S3E9で「彼との狩りは今までで最高の時間だった」といったアビゲイルに「それが最も美しい愛の定義だ。彼が君を愛したやり方で、君も彼を愛することを自分に許さなくては」と教えました。ウィルは今はじめて残忍な狩りの喜びをハンニバルと分かち合い、その景色を「美しい」と言った。そしてハンニバルがS1からS2でウィルを愛してきたやり方は「ウィルを変える」ことで、ウィルはS2からS3、特にダラハイドとの駆け引きと死闘においてついに「ハンニバルを変えた」。つまり「ハンニバルがウィルを愛したやり方で、ウィルもハンニバルを愛することを自分に許した」。愛を求め続けてきたハンニバルの望みは、ここで完璧な形で叶えられたんだと、思います。

あとS1でウィルが殺したギャレット・ホッブスが繰り返し言ってた“See, See?”の意味が実はずっとよくわかってなかったんだけど、ここにつながるんですね...。「この景色を見て。見える?」と暗示してたんだ。S1の頃のウィルにとって残忍な狩りの血塗れの景色は悪夢でしかなく、まだ「見えなかった」。でも今この血塗れの景色を見て、ウィルは紛れもなく「美しい」と感じている。

 ウィルの血塗れの顔のクローズアップ。ひと筋の涙が血を横切っていく
 そしてウィルはぶつかるようにハンニバルに抱き着き、彼の身体ごと崖のほうへ引き倒す。衝撃的な、空っぽのフレーム。彼らは確かにそこにいたのに、今はもう誰もいない。崖を越えてカメラが海を見下ろすと、ウィルとハンニバルが今まさに海へと堕ちていくところ...

はーーーーーーーー(脱魂)もう何もいうことはない...。 

あとはラストシーン、2人を待つ人たち。特に考察はなし。

INT. NORMAN CHAPEL - DAY
ノルマン礼拝堂:昼
CAMERA cruises the aisle as various TOURISTS explore and other PARISHIONERS pray.
CAMERA continues to prowl until it finds a man sitting by himself. As CAMERA PUSHES IN, we reveal the man is Jack Crawford, lying in wait.
カメラは礼拝堂内を散策している観光客と、祈りを捧げる教区民を映す。さらにカメラは移動し、1人ぽつんと座っている男を映し出す。その男とはジャック・クロフォードであり、彼は隠れて誰かを待っている様子

POST CREDITS
FADE IN: CLOSE ON BEDELIA DU MAURIER
クレジット後
フェードイン:ベデリア・デュ・モーリアにクローズアップ
Elegant. In a striking evening dress. As exquisitely coiffed as we've ever seen her. PULL BACK SLOWLY to reveal...
Bedelia sits at a long dining table. We are --
優雅に、印象的なイブニングドレスに身を包んでいる。これまで見てきたのと同じ、彼女はきわめて美しく髪をセットアップしている。ゆっくりとカメラを引いていくと...

INT. DINING ROOM - NIGHT
Warm candlelight fills the room, music is playing. We have the sense that Bedelia is the honored guest at some exceptionally-aristocratic dinner party. CAMERA PULLS BACK to reveal a platter of oysters on the table in front of Bedelia; next to the platter, an oyster fork. CAMERA CONTINUES PULLING BACK to reveal...
室内、ダイニングルーム:夜
暖かい蝋燭の灯りが部屋を満たし、音楽が流れている。ベデリアは特別かつ貴族的な晩餐会の名誉あるゲストとして座っている。カメラを引くとベデリアの前には牡蠣の盛り合わせが配膳され、その横には牡蠣用フォークが添えられている。カメラをさらに引くと...

A WOMAN'S LEG
Pit-roasted on smoldering-hot lava rocks, on a bed of cane strips, surrounded by fresh fruits. Wrapped in crisp ti leaves. Bedelia steadies herself.
焼石式の燻製器で串を打ってローストされ、棕櫚の皮の上に寝かされ、新鮮なフルーツで囲まれた ― 女性の脚部。新鮮なティーリーフで包まれている。ベデリア、気を静めるために深呼吸している

NEW ANGLE ON BEDELIA
We now see Bedelia in profile and, slowly, we PAN DOWN
Bedelia's body to reveal... One of her LEGS IS MISSING. The stump freshly, surgically bandaged. She covertly grabs the oyster fork and slips it under the table and waits for her host to return.
CUT TO BLACK.
END OF SEASON THREE!
ベデリアの別アングル
彼女の横顔からゆっくりとパン・ダウンしていくと... ベデリアの片脚が失われていることが明らかに。切断部は新しく、包帯が巻かれている。彼女は密かに牡蠣用フォークをつかみ、テーブルの下に潜ませ、晩餐の招待者が帰ってくるのを待っている
暗転
シーズン3終了!

 ...以上、S1E1からS3E13まで。ありがとうございました!

S3E13: The Wrath of the Lamb きみに抱く同情は厄介だよ

青字スクリプトにしかないセリフ・状況、赤字は映像にしかないセリフ・状況です

室内:服のクローズアップ。美しい椅子から服が取り上げられ、カメラはハンニバルの背中に。ジャケットに肩を入れ、なめらかに袖に腕を通す。上質な服を着ることの心地よさ。
ワインボトルのセレクションにクローズアップ。ハンニバル、ラックから1本抜く。コルク抜きの脅すような輝き
室外:夜、室内の灯りは暖かく燃えている。窓際にたたずむウィル・グレアム。
自身の服に着替えたハンニバル、ワインとコルク抜きを持って室内を移動する。彼はウィルが窓際にたたずみ、夜の闇をじっと見つめているのに気づく

HANNIBAL: You're playing games with yourself in the dark of the moon.
ハンニバル:きみたちは月の影で自分自身とのゲームに興じてる
- Hannibal wipes down three wineglasses on a side table.
 ト書き:ハンニバル、サイドテーブルのワイングラスを3つ拭く
HANNIBAL: Wasn't surprising that I heard from the Great Red Dragon. Was it surprising when you heard from him?
ハンニバル:偉大なるレッド・ドラゴンからそう聞いたとき、驚きはなかったよ。きみが聞いたときは驚かなかった?
- Will hesitates. Hannibal does not miss a thing.
 ト書き:ウィル、たじろぐ。ハンニバルはその変化を見逃さない
WILL: Yes and no.
ウィル:どちらともいえない
HANNIBAL: You intend to watch him kill me?
ハンニバル:きみは彼が私を殺すのを観察するつもり?
WILL: I intend to watch him change you.
ウィル:彼があなたを変えるのを観察したいんだ
- Hannibal takes that in, a sad smile as he fingers the corkscrew, contemplating killing Will with it. Instead, he uses the tip to cut the seal on the wine bottle.
 ト書き:ハンニバル、その考えを理解して悲しい微笑みを浮かべ、コルク抜きを指で触れる。その凶器でウィルを殺すことに思いを巡らせながら。しかしそうはせず、彼はコルク抜きの先端でワインボトルの封を切る
HANNIBAL: My compassion for you is inconvenient, Will.
ハンニバル:ウィル、きみに抱く同情は厄介だよ
WILL: If you're partial to beef products, it's inconvenient to be compassionate toward a cow.
ウィル:牛製品を好むなら、牛に抱く同情は厄介でしょうね
HANNIBAL: Save yourself, kill them all?
ハンニバル:“自分自身を守れ。皆殺しにしろ”?
WILL: I don't know if I can save myself. And maybe that's just fine.
ウィル:自分を守れるかはわからない。でも多分そのほうがいいのかも
HANNIBAL: "No greater love hath man than to lay down his life for a friend."
ハンニバル:“人が友のために自分の命を捨てること、これ以上に大きな愛はない”? *1
WILL: He's watching us now.
ウィル:彼は今僕たちを見てる

ガラスが割れる低い音と鈍い衝撃。大きな窓には弾丸の穴が開き、蜘蛛の巣状の亀裂が走る。ワインボトルはハンニバルの手の中で割れ、彼が目線を下にやるとセーターにはワインの染み。窓ガラスは弾丸の穴から一気に割れて砕け、ワインボトルは手から落ちる。彼のセーターの赤い染みは血であることがわかる。ハンニバルが撃たれたのだ。
割れた窓の向こうの中庭には夜の闇が見え、フランシス・ダラハイドが姿を現す。ハンニバル、膝から崩れ落ちる。腹部の銃創から血液がドクドクとあふれ出す。ウィル、ダラハイドが銃とダッフルバックを手に、腰のベルトにナイフを差して入ってくるのを見る

DOLARHYDE: (to Will) Don't run. I'll catch you.
ダラハイド:(ウィルに向かって)逃げるなよ。捕まえるぞ
- Hannibal glances up from his belly wound:
 ト書き:ハンニバル、腹の傷から視線を上げて
HANNIBAL: Hello, Francis.
ハンニバル:やあ、フランシス
DOLARHYDE: Hello, Dr. Lecter.
ダラハイド:どうも、レクター博士
 - Dolarhyde pulls a tripod from his bag and tosses it to Will, then points the gun at Will's head. Will begins to set it up.
 ト書き:ダラハイド、バッグから三脚を取り出してウィルに投げ、ウィルの頭に銃を向ける。ウィル、三脚をセットしはじめる
HANNIBAL: I'm so happy you chose life, Francis. Suicide is the enemy.
ハンニバル:君が生きる道を選択してくれて嬉しいよ、フランシス。自殺は敵だからね
 - Dolarhyde squats to look at Hannibal on his level.
 ト書き:ダラハイド、屈んでハンニバルと目線の高さを合わせる
DOLARHYDE: I had one rag of pride that Reba McClane gave me. It told me that suicide was a sorry end.
ダラハイド:リーバがくれた誇りの切れ端を持っていたんだ。その切れ端が自殺は悲しい結末しか生まないと教えてくれた
HANNIBAL: You were seized by a fantasy life with the brilliance and freshness and immediacy of childhood. It took you a step beyond alone.
ハンニバル:君は幼少期の輝かしく生き生きとした空想の世界に囚われていた。その世界が君に孤独を乗り越えさせたんだ
- Dolarhyde pulls a 16-mm camera from his bag, hands it to Will who fixes it atop the tripod, at gunpoint.
 ト書き:ダラハイド、バッグから16mmのカメラを取り出し、ウィルに手渡す。ウィルは銃を突き付けられながら三脚にカメラを設置する
DOLARHYDE: I'm going to film your death, Dr. Lecter, as dying, you meld with the strength of the Dragon.
ダラハイド:レクター博士、あなたの死を撮影するよ。死んでいきながらドラゴンの力と融合するさまを
HANNIBAL: It's a glorious and rather discomforting idea.
ハンニバル:それは光栄だが、不愉快なアイデアだな
- As Will backs away from the camera and tripod, he surreptitiously reaches for the gun tucked into the small of his back...
 ト書き:ウィル、カメラと三脚から遠ざかり、気づかれないように自分のボトムに差した銃に手を伸ばす
DOLARHYDE: Watching the film will be wonderful, but not as wonderful as the act itself.
ダラハイド:この記録を見るのも素晴らしいが、実際の行為ほど素晴らしいものはない

...そしてダラハイドは突如ウィルの顔にナイフを叩き込む。ウィルの頬に刺さった刃のアップ。血がウィルの口内に充満し、顔を流れ落ちる

ちょ、ちょっとここでいったん止めよう。
やっぱり問題は下線部です。ウィルはこの崖の家に来る前に警官の死体から銃を抜き、一瞬ハンニバルを殺すことを考え、思いとどまって同じ道を行くことを選んだ。でも銃は携帯したままで、そのことをハンニバルは知っています。これまでの考察が正しいなら、ハンニバルはここで究極ウィルによって殺されたい(愛するものを殺すことでウィルを変化させたい)。でもウィルはどうやら「ハンニバルを殺す」という選択肢を最後まで選んでくれない。しかもダラハイドによって「殺される」のではなく、「変えられる」ハンニバルを見ていたい、と言う。ウィル自身が変化を受け入れないなら、ドラゴンよりも強くなったダラハイドによって2人ともここで死ぬことになる。それならいっそ自分がウィルを殺してしまおう、とハンニバルは考える。無礼者ではない誰かを殺すとき、ハンニバルはいつも悲しく微笑んでいました。でも彼はウィルを殺すことをあきらめてしまう。
ウィル以外ならここでハンニバルは殺せたかもしれないのに、あるいはS2E7までのハンニバルなら殺したかもしれないのに、今の彼は同情ゆえに殺すことができない。Conpassionという言葉は哀れみ、慈悲とも訳しますが、“他人の苦しみや痛みを理解すること”、すなわち共感がベースにある。かつてベデリアさんは「ハンニバルには他者を理解する能力がない」と言い切りました。
もともと高い共感能力を持ち、弱い者を助けたい性質だったウィルに「暴力と殺人を楽しむ」という相反する魂の覚醒を促し、自分と同じものにしようとしたハンニバル。でも逆に、いつのまにかハンニバルに「他者を理解し、共感する」という魂が生まれてしまった。スクリプトに指示はないのですが、実際の映像でウィルの右頬にナイフが突き立てられた瞬間、ハンニバルの右頬は「まるで自分が刺されて痛みを感じたかのように」引き攣ります。私ここ見たとき、ハンニバルはもう共感能力を欠くサイコパスではなくなってしまったんだと思った。モンスターは再び人間になった。そしてベデリアさんがハンニバルに隠れて施していた「治療」は成功したんですね。

次は中庭の死闘!

*1:聖書のヨハネ福音書15章13節の言葉。この「友のために死ぬ」の主語はイエス・キリストです。ハンニバルとジャックの会話によればウィルはイエスであり、ウィルが「自分を守れるかわからない(=殺される)けど、そのほうがいい」と言ったことに対してハンニバルは皮肉を言ってる。「自殺は敵だ」とダラハイドに言ったように、ウィルに自ら死なれることがハンニバルにとっては一番困るから。

S3E13: The Wrath of the Lamb 私と同じ道を行く?

実はここからセリフが激減し、状況説明と感情描写がメインになります。これはもうト書きのレベルじゃない、小説!セリフだけだと1回の記事で終わるのですが、それだと落ちる情報が多すぎるので、スクリプトの状況描写を日本語で要約、セリフと一部ト書きはこれまで通り対訳することにします。

青字スクリプトにしかないセリフ・状況、赤字は映像にしかないセリフ・状況です

国道を走る囚人移送車のなか、檻の中に閉じ込められたハンニバル。向かいにはウィルと銃を持ったFBI捜査官。車外では1台のクルーザーがサイレンを鳴らし、青いランプを点滅させながら接近し護送車を追い抜く。そして追い抜きざまにクルーザー車内からダラハイドが先頭の護送車の運転手を撃ち、護送車は後続の移送車と激突。車内のウィルとFBI捜査官は前後・左右に揺さぶられ、ウィルは窓ガラスで側頭部を強打する。一方のハンニバルも檻の両サイドにぶつかるが、彼自身は囲われているおかげで強い衝撃を免れる。

ぼんやりした視界のなか後部ドアが開き、ダラハイドが移送車の運転手とFBI達を射殺、FBIから鍵を奪い、ハンニバルの檻を開錠し、ハンニバルの膝に鍵を放り投げ、最後にウィルを一瞥して立ち去る。ハンニバル、すぐに拘束を解く。
移送車から降りて現場を検証するハンニバル。ダラハイドはすでに盗難車で遠ざかり、停車している後続護送車の警官は2人ともこと切れている。ウィルも降りてきてダメージを確認する

ここ、車内の2人が見つめ愛してるのト書きで指示されてなかったの驚きでした。あと映像ではあんまりわからなかったけど、ダラハイドが鍵を奪って外していってくれたんですね。

HANNIBAL: He's not going to kill us here. What he wants to do requires something a little more private.
ハンニバル:彼はここでわれわれを殺す気はないようだね。彼が目的を果たすにはもう少しプライバシーが守られる場所が必要だ
- He crosses to the police car. He opens the door and pulls the dead driver from the vehicle.
 ト書き:彼は警察車両に近づき、ドアをあけて死んだ運転手を引きずり出す
WILL: What are you doing?
ウィル:何してる?
HANNIBAL: You know, Will, you worry too much. You'd be so much more comfortable if you relaxed with yourself.
ハンニバル:ウィル、いいかい、きみは心配しすぎなんだ。緊張を緩めればずっと楽になる

ウィルの横に車を横づけし、助手席のドアを開けて死んだ警官を乱暴に押し出したハンニバル、ウィルをピックアップしようとします。おお神よ。

- He leans across the seat:
 ト書き:ハンニバル、座席に身を乗り出す
HANNIBAL: Going my way? Are you coming? He's not going to kill us here. What he wants to do requires something a little more private.
ハンニバル私と同じ道を行く? きみは来る?彼はここでわれわれを殺す気はないようだね。彼が目的を果たすにはもう少しプライバシーが守られる場所が必要だ
- Will takes the gun off the dead cop, then holds Hannibal's gaze -- should he kill Hannibal right now himself? Will glances at the chaos and carnage around them and then tucks the gun into the back of his pants and climbs into the car.
Hannibal puts the car in drive and pulls away.
 ト書き:ウィル、死んだ警官から銃を取り上げ、ハンニバルから目をそらさず-- 今すぐ自分がハンニバルを殺すべきではないか?と考える。ウィル、周囲の混乱と虐殺を眺め、ボトムの後ろに銃を入れ、車に乗り込む。ハンニバルは車を発進する。車は破損車両から遠ざかり、地平線を目指す

“Are you coming?”から“Going my way?”にセリフを変えたの誰だーーー!最高オブ最高。あとは下線部ですね...。ダラハイドを殺し、ハンニバルを殺そうと言ったのはジャックで、ウィルは肯定していませんでした。ウィルは一貫して「ハンニバルを変える」と言っていて、殺そうとはしていない。でも一瞬だけ「殺してしまうべきではないか」と考える。このあと崖の上の家でハンニバルも同じことを一瞬だけ考えます。相互応報的行動原理だ。

シーンは切り替わって、国道の事件現場に現れたジャック。

国道、ウィルとハンニバルを乗せていた囚人移送車は溝に落ちたまま。警察車は道路の真ん中に停車し、FBI捜査官と警官の複数の死体が運ばれ、犯罪現場の証拠収集、写真撮影が進められている。ジャック・クロフォードは慌ただしい犯行現場で怒りと懸念の表情を浮かべている

ジャックのあの表情は怒りと心配だったんですね。

そして崖の上の家へ。

海の上に切り立った目がくらむような絶壁、地層が露出した岩の先端に平屋がぽつんと建っている。全面ガラス張りの壁は暗く沈んだ海を望んでいる。ウィルとハンニバルは崖の上の家に近づき、ウィルはその絶景に惹かれる。

HANNIBAL: The bluff is eroding. There was more land when I was here with Abigail. More land still when I was here with Miriam Lass.
ハンニバル:この崖は常に侵食されている。ここにアビゲイルといたとき、もっと土地があった。ミリアム・ラスといたときはもっとね
WILL: Now you're here with me.
ウィル:今は僕といる
HANNIBAL: And the bluff is still eroding. You and I are suspended over the roiling Atlantic. Soon all of this will be lost to the sea.
ハンニバル:そしてこの崖も侵食され続けている。きみと私は荒れ狂う大西洋の上に浮かんでるんだ。まもなくこの崖も家もすべて海に沈むだろう
- Will lingers as Hannibal locates the spare key under a stone, opens the front door and disappears into the house.
 ト書き:ハンニバル、石の下のスペアキーを探し出し、正面玄関を開いて家の中に消えていく。ウィルはその場に残って立ち竦む

キエエエエエ!(奇声)ここの海洋と断崖と時間の概念が好きすぎて本当につらい。いずれ削れて海に飲まれる断崖の上、男2人が「今は僕といる」つって「きみと私は荒れ狂う大西洋の上に浮かんでる」って言い合うんですよ。これは夢か。いつかこの場所に行くのが今の私の夢です。

今日はとりあえずここまで。次は室内の会話と、ダラハイド襲撃のあたりまで。

S3E13: The Wrath of the Lamb あなたが必要だ、ハンニバル

E13は大事なシーンが多すぎて、チルトンのシーンを飛ばしてしまって大変申し訳ないきもちです。
青字スクリプトにしかないセリフ、赤字は映像にしかないセリフです

ダラハイドを罠にかけるため、ハンニバル脱走偽装の交渉に行くアラーナ。ここはいくつか疑問がある。

ALANA: There's a deal for you, Hannibal. Or there could be.
アラーナ:ハンニバル、あなたに好都合な談合があるわ。あるいはその可能性が
HANNIBAL: A deal? With whom?
ハンニバル:談合?誰との?
ALANA: The FBI.
アラーナ:FBIよ
HANNIBAL: Jack couldn't ask me himself?
ハンニバル:ジャックが自分で頼みに来れなかった?
ALANA: Jack doesn't know you as well as I do. He thought if he asked you for help, you would just torment him.
アラーナ:ジャックは私ほどあなたを理解してない。彼はあなたに助けを求めれば苦しめられると思ってる
HANNIBAL: Quite right, too. How wise of Jack.
ハンニバル:それももっともだ。ジャックは賢いな
ALANA: The Red Dragon faked his death.
アラーナ:レッド・ドラゴンは自分の死を偽装してたわ
- An almost-imperceptible reaction from Hannibal, then:
 ト書き:ハンニバル、ほとんど感知できない程度に反応する。そして:
HANNIBAL: Did he? Good for him.
ハンニバル:偽装を?それはめでたい
ALANA: Jack wants to fake your escape. I release you into police custody. And Jack uses you as bait.
アラーナ:ジャックはあなたの脱走を偽装したいそうよ。私はあなたを警察の拘置所に移送する。そしてジャックはあなたを餌として利用する
HANNIBAL: Was it Will's idea?
ハンニバル:それはウィルの考え?
ALANA: Yes.
アラーナ:ええ
HANNIBAL: That worked out so well for Frederick Chilton. Do please tell Frederick, if you see him, I wish a speedy convalescence and hope he won't be very ugly.
ハンニバル:彼の考えはフレデリック・チルトンにはうまくいった。フレデリックに伝えてくれ、もし会うことがあるなら。“速やかな回復を祈る、あまり醜くならないようにね” *1
ALANA: I've been on the phone for hours on your behalf, this is what you get--
アラーナ:私はあなたの代わりに何時間も電話に出てきた、この待遇はあなたが得たもの...
HANNIBAL: Any rational society would either kill me or give me my books.
ハンニバル:理性的な社会なら私を殺すか、本を与えるかしてくれるだろうに *2
ALANA: If you cooperate in the capture of Francis Dolarhyde, you'll get your books, your drawings. Your toilet. All privileges will be restored.
アラーナ:もしフランシス・ダラハイドの逮捕に協力するなら、あなたは本も絵も、便器も手に入るわ。すべての特権をもとに戻す
HANNIBAL: You trust Will with my well-being?
ハンニバル:君はウィルを信じて私の文化的生活を託すのか?
ALANA: As much as I trust you with his.
アラーナ:私があなたを信じてウィルの精神的安定を託したようにね
HANNIBAL: You trust me with yours? You intend to release me into police custody. Police are not as wise as you are.
ハンニバル:私を信じて君の幸福を託したように?君は私を拘置所に移送しようとしてる。警察たちは君ほど賢くはない
ALANA: Police are accustomed to handling criminals.
アラーナ:警官は犯罪者の扱いに慣れてるわ
HANNIBAL: They're inclined to use leg irons and handcuffs. Handcuffs and leg irons open with a handcuff key. There's always one close by. I may escape in earnest and come to kill you.
ハンニバル彼らは足枷と手錠を使う傾向があるが、どちらも手錠の鍵で開く。手錠と足枷はいつも近くにあるからね。私が本気になれば逃亡して、君を殺しに行くかもしれない
ALANA: The first chance you get, I assume.
アラーナ:あなたが手に入れる最初のチャンスね
HANNIBAL: You died in my kitchen when you chose to be brave. Every moment since is borrowed. Your wife... your child... they belong to me. We made a bargain for Will's life, and then I spun you gold.
ハンニバル:君は私の家のキッチンで勇敢になる道を選んだときに死んだ。あのときからずっと君の時間は借り物だ。君の妻も...君の子供も...みんな私のもの。われわれはウィルの命で交渉した、それから私は君に金を紡いでやったんだ
ALANA: I'm on my honor to look after you, Hannibal, and I do it.
アラーナ:ハンニバル、私の名誉にかけてあなたを監督する。必ずね
HANNIBAL: No personal considerations entered into our clinical relationship?
ハンニバル:われわれの関係性において個人的な私情は考慮されない?
ALANA: Only personal experience.
アラーナ:私たちの間には個人的な経験しかないわ

ここのハンニバルとアラーナの会話は逃げること前提で進んでるけど、ウィルとベデリアさんの会話とは意図がまったく違わないですか...。ウィルは彼を変化させるために喜んでハンニバルを解き放とうとしてる。けどハンニバルは止めてほしがってるような...?なんで彼は内情をぶちまけてアラーナに「自分を出したら殺す」と脅すの?ウィルにお願いに来てほしいから渋ってベットを吊り上げてるのだとしても、この脅迫は悪手すぎる気がする。。ほんとに脱走したかったら言っちゃいけないことしか言ってなくない?
あと字幕の「ウィルの命で取引し金を紡いでやった」の表現とても美しいのに、初見時は意味わかってなかったな私...。ここ時系列が3つ飛んでたんですね。アラーナが死んだのはS2E13ラスト。ウィルの命でアラーナとハンニバルの交渉が成立したのはS3E7のマスクラットファームの豚小屋。アラーナが金を紡いだのはS3E8以降、マーゴと結婚してから。相変わらず言い回しが独特すぎるよ博士...;;

次、アラーナとジャックとウィルの三者面談。

ALANA: Hannibal has tentatively agreed to the deal, as proposed.
アラーナ:ハンニバルは提案した談合に同意したわ、暫定的だけど
JACK: What will make him less tentative?
ジャック:どうしたら暫定的じゃなくなる?
ALANA: He wants Will to ask him. He wants you to say "please."
アラーナ:彼はウィルに頼んでほしいのよ。“頼む”って言わせたいの
WILL: I'll say "pretty please."
ウィル:“おねがい”とでも言うよ

ここはpretty pleaseが訳したかっただけなので後半は略してます。字幕では「何とでも言うよ」になってるけど実際は「(子供がおねだりするみたいにかわいく)“おねがい❤”って言うよ」です。プリティ・プリーズってオトナが言うと超あざといおねだりの言葉なんじゃよ...。昔好きだった女性&博士の元彼女の前でこれ言うのほんとすごいんだけど、そもそもアラーナが「彼はウィルに“お願い”って頼まれたい」って言い出すところからもう時空が歪んでる(※私もたまには我に返ります)。

今日の記事めちゃくちゃ長いけどここまで来たらこのシーンもやっつけてしまおう。なぜか礼拝堂で喪服の会葬者に見守られながらの羞恥プレイ。そういえば現実世界で2人がガラスの壁なしで対峙したのS3E7以来じゃない...?震

HANNIBAL: I thought you said your good-byes.
ハンニバル:きみはさよならと言ったはずだよ
WILL: We've one last good-bye between us.
ウィル:僕たちの間には確かに最後のさよならがあった
HANNIBAL: You didn't just say good-bye, though, did you? That little extra bit at the end. What was that you said?
ハンニバル:だがきみが言ったのはさよならだけじゃなかったね?最後にほんの少し余計なことを言った。何て言った?
WILL: You wouldn't have turned yourself in unless I rejected you.
ウィル:僕が拒絶しなければ、あなたは自首しなかっただろうと
HANNIBAL: Yes. That extra bit. I believe that's what they call a "mic drop." You dropped the mic, Will, but here you are having to come back and pick it up again.
ハンニバル:そうだ。それが余計なことだ。あれはマイク・ドロップ(※スピーチの後にわざとマイクを床に落とすこと)と呼ばれる行為だ、ウィル。だがきみはこの場所に戻ってきて、もう一度マイクを拾う必要があった
WILL: I knew you would keep running if I kept chasing you. I knew you wanted me to know exactly where I could find you. When I needed you.
ウィル:僕があなたを追い続ければ、あなたは逃げ続けると知ってた。僕が探したとき、僕があなたを必要としたとき、僕に自分の正確な居場所を知らせたがってたのもわかってた
HANNIBAL: And you did.
ハンニバル:そして今きみは私を必要としてる
WILL: I need you, Hannibal.
ウィル:あなたが必要だ、ハンニバル
HANNIBAL: Ding-dong. The Dragon's not dead.
ハンニバル:ドラゴンは生きてる
WILL: He told you he wanted to meet you. Maybe that's a serious invitation.
ウィル:彼はあなたに会いたいと話してた。どうやらこれは本気のご招待だ
HANNIBAL: Somehow, I don't think he was just being polite.
ハンニバル:どうやらただの社交辞令とは思えないね
WILL: After the big escape, you send the Dragon a message in the personal ads, you ask him for a rendezvous.
ウィル:大脱走の後、あなたはドラゴンに個人的な広告でメッセージを送る。会わないかと
HANNIBAL: He won't go near a mail drop.
ハンニバル:彼は用心して郵便受けには近寄らないだろう
WILL: But he might be curious enough to look at one to see if you sold him.
ウィル:でもあなたが彼を売ったかどうか、確認するくらいには好奇心が強いかも
HANNIBAL: If he could do it from a distance.
ハンニバル:もし彼が遠くからでも郵便受けを確認できるなら?
WILL: We picked a drop that can be watched from only a few places a long way off, and we'll stake out the observation points.
ウィル:僕らは遠く離れたところからしか見えない地点を選んだ。観測地点で張り込みをする
HANNIBAL: It sounds weak to you, even as you say it.
ハンニバル:きみが言ってるにしても、弱弱しく聞こえるな
- Will doesn't blink.
 ト書き:ウィル、瞬きもしない
WILL: Secret Service has a setup they've never used. They'll let us have it. You're our best shot, Hannibal. ...Please.
ウィル:シークレット・サービスは使ってないアパートを持ってる。それを使わせてくれる。あなたが僕らのベスト・ショットだ、ハンニバル。...お願いだから
- OFF Hannibal's smile at the magic word, the mask comes down...
 ト書き:魔法の言葉でハンニバルに笑みが浮かび、再び仮面をかぶるところで暗転

この「お願い」の後のハンニバルの笑みも大概ですけど、ウィルの「これでどう?」の笑みもすんごいですね...。ここの会話でウィルはハンニバルにOKを言わせるためにS2終盤並みの無理な演技をしてる。だから彼が話してる内容にはいくつか嘘がある。
...という点をふまえて次、大脱走です。あああああ。

*1:原作レッド・ドラゴンレクター博士が最後に重症のウィルに送った手紙から。

*2:ここも原作レッド・ドラゴンレクター博士がウィルに送った手紙から。

S3E13: The Wrath of the Lamb あなたは信仰に出会ったのね

生きていたダラハイドの報復=子羊の怒り(ウィルの義憤)の始まりから。ウィルはもう迷っていないけど、本当の目的がまだ見えてこない。
青字スクリプトにしかないセリフ、赤字は映像にしかないセリフです

ハンニバルに「さようなら」を叩きつけてモーテルに戻った後、ダラハイドに襲撃されるウィル。

WILL: You didn't break my back.
ウィル:僕の背骨を打ち砕かなかったのか
DOLARHYDE: Not today. Your face is closed to me.
ダラハイド:それは今日じゃない。私はお前の顔には近づけない
WILL: If I can see you, you can see me.
ウィル:僕に君が見えるなら、君にも僕が見える
- Dolarhyde is amused by Will in a curious way.
 ト書き:ダラハイド、奇妙なことにウィルを面白がる
DOLARHYDE: You think you understand, don't you?
ダラハイド:おまえは私を理解できると思うのか?
WILL: "I understand that blood and breath are only elements undergoing change to fuel your Radiance." Hannibal said those words. To me.
ウィル:“血と呼吸はきみの輝きを増すための変化を与える要素に過ぎない、そう私は理解している。”ハンニバルが言った言葉だ。僕に向けて 
DOLARHYDE: I tried to share with Lecter, and Lecter betrayed me.
ダラハイド:レクターと共有しようとした、でも奴は私を裏切った
WILL: He betrayed me, too.
ウィル:彼は僕のことも裏切ったよ
DOLARHYDE: I would like to share.
ダラハイド:私は共有したかったんだ
WILL: You shared with Reba.
ウィル:リーバと分かち合っただろう
DOLARHYDE: I shared with Reba a little, in a way she could survive. She had one flash of my glory. 
ダラハイド:リーバとはほんの少しだけ、彼女が生きられる方法で共有した。彼女は私の栄光の一筋の光だったんだ
WILL: You didn't change her.
ウィル:君は彼女を変えなかったんだな
DOLARHYDE: I choose not to change her. I thought, "Dare I? Of course I do." I'm stronger than the Dragon now.
ダラハイド:変えない道を選んだ。“あえて選ぶのか?もちろんそうだ。” 今の私はドラゴンよりも強いぞ
WILL: Dr. Chilton was just an annoyance to you and so am I, but Hannibal Lecter is who you need to change.
ウィル:チルトン博士も、そして僕も君をいらだたせるだけの存在だ。だがハンニバル・レクターは君が変えなくてはならない
DOLARHYDE: I want to meet Lecter. I want to tell him important things.
How could I manage that?
ダラハイド:レクターに会いたい。彼に大事なことを伝えたいんだ。どうすればそれができる?
- OFF Dolarhyde and Will's cabal...
 ト書き:ダラハイドとウィルの陰謀で暗転...

ダラハイドがハンニバルと決定的に違うのは、リーバをリーバのまま愛するためには自分が変えてはならない、と切り離す道をあえて選んだこと。ハンニバルは変化させたウィルが生きられなくても、自分と切り離す気は毛頭ないんですね。ドラゴンのほうが崇高で、ハンニバルのほうが容赦なく必死。
あと最後の2人の共闘成立の解釈がすごく悩ましいのですが、この時点でダラハイドはウィルの代理人になったと言っていい。ウィルはダラハイドを使ってハンニバルを変化(≠殺)させようとしている。ドラゴンよりも強くなったダラハイドはハンニバルに会って伝えたいことがある。それは何か?という疑問がフィナーレにつながっていく...はず。

次、ベデリアさんの自宅。ウィルは着々と画策を進めています。衝撃の計画を告げられ、微動だにしなかった彼女は動揺から酒に手を伸ばす。依存体質なんだね...。

BEDELIA: We assign a moment to decision, to dignify the process as a timely result of rational and conscious thought. Yet what you propose is so thoughtless, I find it difficult to imagine that moment exists.
ベデリア:私たちは合理的かつ意識的な思考による時宜を得た結果を尊重して、決断のために束の間の時間を割く。でもあなたの提案にはあまりにも思慮が見えない。決断のために時間をかけたとはとても想像できないの
WILL: Decisions are made of kneaded feelings. They're more often a lump than a sum.
ウィル:決断は練られた感情から生まれる。決断は感情の総和ではなく総括だよ
BEDELIA: However you think you're going to manipulate this situation to your advantage, think again.
ベデリア:自分に有利になるようにこの状況を操作しようと考えてるにしても、考え直しなさい
WILL: There is no advantage. It's all degrees of disadvantage.
ウィル:僕は有利なんかじゃない。あらゆる意味で不利ですよ
BEDELIA: "Who holds the Devil, let him hold him well. He will hardly be caught a second time."
ベデリア:“悪魔を捕まえたとあっては放せない。そうすぐに二度と捕まらぬから”
WILL: I don't intend Hannibal to be caught a second time.
ウィル:もう二度とハンニバルを捕まえさせるつもりはない
- Bedelia studies Will. Sensing where he might be going. Hoping she is wrong. A flicker of alarm plays in her eyes.
 ト書き:ベデリア、ウィルを観察する。彼がどこへ行こうとしているのか気づきながら。自分が間違っていることを願いながら。彼女の両目には不安がちらつく
BEDELIA: Can't live with him. Can't live without him. Is that what this is?
ベデリア:彼と共には生きられない。彼なしでも生きられない。これがあなたのなるべき姿なの?
WILL: I guess this is my Becoming.
ウィル:それが僕のなるべき姿だ
BEDELIA: What you're "becoming" is pathological.
ベデリア:あなたがなるべき姿は異常よ
WILL: Extreme acts of cruelty require a high degree of empathy.
ウィル:極端な残虐行為には高度な共感が求められる、でしたっけ
BEDELIA: You found religion. Nothing more dangerous than that.
ベデリア:あなたは信仰に出会ったのね。信仰ほど危険なものはないわ
WILL: I'd pack my bags if I were you, Bedelia. Meat's back on the menu.
ウィル:ベデリア、もし僕があなたなら荷造りしてる。肉料理が戻ってくるからね
- Bedelia is enraged in a way we’ve never seen.
 ト書き:ベデリア、見たことがないほど激怒する
BEDELIA: You righteous, reckless, twitchy little man. Might as well cut all our throats and be done with it.
ベデリア:なんて自分本位で無茶で、神経過敏で小さな男なの。私たち全員が咽喉を掻き切られ、料理にされるのに
WILL: Ready or not. Here he comes.
ウィル:準備はいい?彼が来るぞ

待ってウィルは信仰に出会ってしまったの...?ならもう仕方ないじゃない...つっら...。
ファウストの話をここでしとかないといけなかったんだけど、ちょっと腑抜けてしまったので落ち着いたらやります;;

S3E13: The Wrath of the Lamb ウィル、私と出会えてよかった?

ラスト、子羊の怒り。まず前半、ウィルが3度目の拒絶をハンニバルに叩きつけるところまで。
青字スクリプトにしかないセリフ、赤字は映像にしかないセリフです

ダラハイドの死の偽装後、リーバとウィルの対話を途中から。

WILL: I won't put you through this again, but I'd like to come back by. Just to say hi and see how you're doing.
ウィル:つらい体験をもう二度と追体験させないようにするよ、また来るけど。今度はただ挨拶とお見舞いに
REBA: How could you help it? A charmer like me.
リーバ:あなたならどうやって助けた?わたしみたいに魅惑的な人間なら
- Bitterness and self-reproach evident in her voice. Will won't let her go there.
 ト書き:彼女の声に現れた苦さと自責。ウィルは彼女をその場所に行かせたくない
WILL: Would you excuse us for a minute, officer?
ウィル:(女性警官に)少し2人にしてもらえますか?
- The officer leaves the room, then Will takes Reba's hand.
 ト書き:女性警官たちは部屋を出ていき、ウィルはリーバの手を握る
WILL: In the end, he couldn't kill you and he couldn't watch you die. The people who study this kind of thing say he was trying to stop.
ウィル:彼は結局君を殺すことができず、君が死んでいくのを見ることもできなかった。こういった犯罪を研究してる専門家は「彼は止まろうとしてた」と言ってる
REBA: Why?
リーバ:なぜ?
WILL: Because you helped him. That probably saved some lives.
ウィル:君が彼を救ったからだよ。おかげで何人もの命が助かったはずだ
REBA: I drew a freak.
リーバ:わたしはフリークスを引き寄せたのね
WILL: You didn't draw a freak. You drew a man with a freak on his back. Nothing wrong with you, don't let yourself believe there is.
ウィル:君が引き寄せたのはフリークスじゃない。背中にフリークスを背負った男を引き寄せただけだ。君は何も悪くない、自分があの場所にいると思わないで
REBA: I know there's nothing wrong with me. In making friends, I try to be wary of people who foster dependency and feed on it. I've been with a few. The blind attract them.
リーバ:わたしも自分が悪くないことはわかってるの。友達を作るとき、依存させて食いものにする人間には気を付けてる。そんな人間が数人いたから。目が見えないと彼らを惹きつける
WILL: Not just the blind. I'm coming back to see you in a day or so. I have to look at cops all the time, and I need relief; try to do something about your hair there.
ウィル:目が見えないことだけが理由じゃないさ。数日うちにまた会いに来るよ。いつも警官を見てなきゃいけないから息抜きも必要だ。あと君の髪の毛を何とかしないとね

ウィルは被害者や弱き者には本当に優しいね。ここはリーバ/ダラハイドとウィル/ハンニバルの関係性が対応していて、ウィルがリーバに共感しながら会話が進みます。ウィルはリーバを慰めながら、少しずつ自分の中のハンニバルへの思いに気づいていってる。この対応関係から考えると、ウィルは(リーバのように)ハンニバルを救うべき存在だったはずだし、ハンニバルは(ダラハイドのように)ウィルを殺すことも彼が死んでいくのを見ることもできない。

そしてリーバのお見舞いの後、ウィルはその足でボルティモア精神病院の博士のもとへ。記憶の宮殿のノルマン宮殿礼拝堂には無数のキャンドルがあり、ハンニバルがその灯りを1つずつ指で消していきます(※スクリプトでは逆に灯していく)。

WILL: Ding-dong, the Dragon's dead.
ウィル:ドラゴンが死んだ
- Hannibal's smile fades, genuinely disappointed by that news, but finding some possible shred of hope:
 ト書き:ハンニバルの笑顔は消え去り、その知らせに心から失望する。しかしズタズタにされた希望のかけらを見つけようとする
HANNIBAL: Are congratulations in order?
ハンニバル:“おめでとう、よくやった”が相応しい?
WILL: I didn't kill him. Suicide.
ウィル:僕が殺したんじゃない。自殺ですよ
HANNIBAL: Then he wasn't as strong as the Dragon after all.
ハンニバル:それなら結局、彼はドラゴンほど強くなかったわけだ
WILL: He was trying to stop.
ウィル:彼は止まろうとしてた
HANNIBAL: I was rooting for you, Will. It's a shame. You came all this way and you didn't get to kill anybody. Only consolation is Dr. Chilton. Congratulations for the job you did on him. I admired it enormously. What a cunning boy you are.
ハンニバル:ウィル、私はきみを応援していたのに。残念だよ。きみはここまではるばるやってきたのに、結局誰も殺さなかった。唯一の慰めはチルトン博士だね。きみが彼にしたことに祝辞を。大いに敬服したよ。なんて悪知恵のはたらく子だ
WILL: Are you accusing me of something?
ウィル:なにか僕を責めてる?
HANNIBAL: Does the enemy inside you agree with the accusation? Even a little bit?
ハンニバル:きみの内なる敵はその糾弾に同意してる?ほんの少しでも?
WILL: I came back to stop the Dragon. He's stopped.
ウィル:僕はドラゴンを止めるために復帰した。彼は止まった
HANNIBAL: Your family was on his itinerary. Safe now. You can go home again. If there's any point. Is there any point?
ハンニバル:きみの家族は彼の旅程に入っていた。今はもう安全だ。家に帰れる。もし意味があるなら。そこに意味はある?
WILL: I like my life there.
ウィル:僕はあの生活が好きです
HANNIBAL: It won't be the same. You'll see it's not the same. The unspoken knowledge will live with you, like unwanted company in the house.
ハンニバル:その生活はもう同じではないだろう。同じではないことをきみは目の当たりにするはず。家の中にいる望まない来客のように、語られない悪意がきみと一緒に暮らすんだ
WILL: Molly and I want it to be the same.
ウィル:モリーと僕は元通りに暮らしたいんだ
HANNIBAL: Mutual assurances you try to exchange in the dark and in the day will pass through some refraction, making them miss their mark. When life becomes maddeningly polite...... think about me. Think about me, Will, don't worry about me.
ハンニバルきみが夜に昼に交わそうとしている結婚生活という相互保証は、的を外しながらいくつもの屈折を経験するだろうね。人生が気が狂いそうに上品になってしまったら、......私のことを考えなさい。私を思え、ウィル。私のことは心配しなくていいから
WILL: You turned yourself in so I would always know where you are. You'd only do that if I rejected you. Good-bye, Hannibal.
ウィル:あなたは僕に居場所を知っておいてほしくて自首した。僕があなたを拒絶したら、あなたはそうするしかなかったんだ。さようならハンニバル
- Will turns and walks away, the doors BUZZING open.
 ト書き:ウィル、向きを変えて歩き去る。ドアが開く音
HANNIBAL: Will... Was it good to see me?
ハンニバル:ウィル、私と出会えてよかった?
WILL: Good? No.
ウィル:よかったかって?いいえ
- And Will exits, the double doors closing behind him.
 ト書き:ウィルは出ていき、二重扉が彼の背後で閉まる

はーーーーつらい。この時点ではさすがの博士もダラハイドが死んだと思ってるので、「ああこれでもうウィルに会えない」って絶望してるんですね...。ウィルがダラハイドを殺したのならウィルの中にドラゴンが住みつき、相反する2つの魂が融合した可能性はあった。でも自殺ならその望みも消えてしまった。これでしばらく、かなり長い間、もしかしたら二度と、ウィルは自分の目の前に現れないかもしれない。毎日ウィルへの飢えで突き刺すような痛みを感じ、目にするだけで満たされるのに。だから「会えないならせめて私を思え」とハンニバルは祈ってる。ウィルが上品で血の匂いのしない生活に退屈してふと自分のことを思い出すその瞬間を思って、その想像を糧にしてハンニバルは生きようとしてる。なんという妄念。

ここにきて字幕が意訳してくださっていて、アッ的確だしこなれてるし最後の「まさか」とかすごくいい訳だな!と思うんだけど、残しといてほしい意味が脱落してる...;;なんでなんだろう。わからん...。

S3E12: The Number of the Beast is 666 彼はあなたを飼ってる

E12はチルトンの山場を飛ばすと実はそんなに分量がなかった!びっくり。チルトン大好きなんだけど、唇かじられて焼かれるシーンを飛ばすことには何のためらいもなかったよ。
青字スクリプトにしかないセリフ、赤字は映像にしかないセリフです

チルトンのビデオメッセージを見て不安定さに拍車がかかるウィル、引き続きベデリアさんとのセラピーに通っています。

WILL: Damn if I'll feel.
ウィル:僕は絶対に感じないぞ *1
BEDELIA: Would you like to talk about what happened to Frederick Chilton?
ベデリア:フレデリック・チルトンに起きたことを話したいと思う?
WILL: The divine punishment of the sinner mirrors the sin being punished.
ウィル:神が罪人に与える罰は罰せられた罪を正確に映し出す
BEDELIA: Contrapasso. If you play, you pay.
ベデリア:因果応報。「うかうかしてると痛い目を見る」ね
WILL: Chilton languished unrecognized until Hannibal the Cannibal. He wanted the world to know his face.
ウィル:「人食いハンニバル」までのチルトンは認められず萎れてた。彼は全世界に顔を知られたかったんだ
BEDELIA: Now he doesn't have one.
ベデリア:今彼はその顔を持ってない
WILL: Only for radio. Damned if I'll feel.
ウィル:ラジオ向きだな。僕は絶対に感じないぞ
BEDELIA: We're all making our way through the Inferno. Dante's pilgrims.
ベデリア:私たちはみんな地獄へ向かって進んでる。ダンテの巡礼者ね
WILL: We're pets, not pilgrims. And the Great Red Dragon kills pets first.
ウィル:僕らは巡礼者じゃない、ペットだ。レッド・ドラゴンは最初にペットを殺す
BEDELIA: You put a hand on Dr. Chilton's shoulder for the picture. Touch gives the world an emotional context. The touch of others makes us who we are. It builds trust.
ベデリア:あなたは写真に映るときチルトン博士の肩に手を置いた。接触は世界に感情的状況を伝える。他者への接触は自分自身が誰かを知覚させ、信頼を築く
WILL: I put my hand on his shoulder for authenticity.
ウィル:僕が彼の肩に手を置いたのは信憑性を高めるためだ
BEDELIA: To establish he really told you those insults about the Dragon? Or had you wanted to put Dr. Chilton at risk? Just a little?
ベデリア:彼がドラゴンについての侮辱を語ったのが本当だと証明するために?あるいはチルトン博士を危険に晒したいと思った?ほんの少しでも?
WILL: I wonder.
ウィル:どうだろう
BEDELIA: Do you really have to wonder?
ベデリア:本当に「どうだろう」と思ってる?
WILL: No.
ウィル:いや、思ってない
BEDELIA: Did you know what the Great Red Dragon would do? You were curious what would happen, that's apparent. Is this what you expected?
ベデリア:偉大なるレッド・ドラゴンが何をするか知っていたのね?あなたは何が起こるか興味があった、それは明らかよ。この事態はあなたが期待していた通り?
WILL: I can't say I'm surprised.
ウィル:自分が今驚いてるとは言えない
BEDELIA: Then you may as well have struck the match. That's participation. Hannibal Lecter does indeed have agency in the world. He has you.
ベデリア:それならあなたがマッチを擦ったも同然。それが加担ということ。ハンニバル・レクターは確かにこちらの世界に代理人を持ってる。彼はあなたを飼ってる

うーん、このシークエンスは何が言いたいのかちょっと迷っていますが、下線部はかつてのハンニバルの発言や考え方です。ベデリアさんはハンニバルの代弁者ではあるけど、代理執行人ではないんだな...。

あと最後の“He has you.”はペットの話の流れを受けてるから、飼う、使役する、が妥当じゃないかなと思う。ハンニバルはウィルをペットとして飼っていて、レッド・ドラゴンは最初にペットを殺しに来る、ということでは?まず(ウィルがペットのように肩に手を置いた)チルトンが、次にハンニバルのペットであるウィルが。ウィルの自宅の犬を先に殺そうとしたように。

そしてここでよくわからないのが代理人とペットの概念です。
ベデリアさんが言う代理人=ウィルは"agency"。でもジャックとアラーナがハンニバルを責めるシーンでは、アラーナはウィル(ダラハイド?)を"proxy"と言ってた。

ALANA: By refuting him, you orchestrated his end by proxy.
アラーナ:彼を否定することで、代理人を使って彼の最期を画策した

エージェントは秘密裡に、プロキシは公的に、というイメージですけどわざと変えてるのかな。ちなみにS2でウィルの代理人になってハンニバルを殺そうとしたマシューは"proxy"だった。ペットは原作にも出てくるし特に意味はないのか...?いや、でもこのドラマで意味がないセリフはまずないんですよ。保留しよ。

次はちょっと前後しますが、燃やされる前のチルトンとハンニバルの会話。ここは燃やされてから聞いたほうが皮肉度がぐっと上がります。

HANNIBAL: "Wood burns because it has the proper stuff in it; and a man becomes famous because he has the proper stuff in him." You don't have the proper stuff, Frederick.
ハンニバル:“薪が燃えるのは、その中に燃える要素を持っているからだ。人間が名を顕すのは、その人に有名になる素質が備わっているからだよ。”フレデリック、君には有名になる素質がなかったんだ
CHILTON: I'm a best-selling author.
チルトン:私はベストセラー作家だぞ

ちなみにハンニバルが言ってる“薪は~”は「ゲーテとの対話」からの引用で、後半はこう続く。「名声は求めて得られるものではない。それをどんなに追いまわしたところで無駄さ。利口に立ちまわって、いろいろと策を弄し、まあ一種の名声を挙げることはできるかもしれないが、心の中に宝石がなければそれは空しいもので、長続きするはずもないよ。」...これもまたゲーテですね。なんとなくS3E13の終幕に向けていろんな目くばせが配置されてる気がしてきた。でもまだ形にならない!

*1:※これ何を感じないぞって言ってるのかわからなかったんですが、チルトンのビデオメッセージでダラハイドが言った命令、“ウィル・グレアム、背中に手を伸ばせ、そしておまえの骨盤の頂点にある小さな隆起を感じろ。その間にある背骨を感じろ。その背骨がまさにドラゴンが打ち砕こうとする場所だ(Reach behind you, Will Graham, and feel for the small knobs on the top of your pelvis. Feel your spine between them; that is the precise spot where the Dragon will snap your spine.)”からの「感じる」なんですね。チルトンに共感しないぞってことかと思ったわ。