Eat the Rude.

NBC版ハンニバルを捏ねくりまわすよ

S3E13: The Wrath of the Lamb ウィル、私と出会えてよかった?

ラスト、子羊の怒り。まず前半、ウィルが3度目の拒絶をハンニバルに叩きつけるところまで。
青字スクリプトにしかないセリフ、赤字は映像にしかないセリフです

ダラハイドの死の偽装後、リーバとウィルの対話を途中から。

WILL: I won't put you through this again, but I'd like to come back by. Just to say hi and see how you're doing.
ウィル:つらい体験をもう二度と追体験させないようにするよ、また来るけど。今度はただ挨拶とお見舞いに
REBA: How could you help it? A charmer like me.
リーバ:あなたならどうやって助けた?わたしみたいに魅惑的な人間なら
- Bitterness and self-reproach evident in her voice. Will won't let her go there.
 ト書き:彼女の声に現れた苦さと自責。ウィルは彼女をその場所に行かせたくない
WILL: Would you excuse us for a minute, officer?
ウィル:(女性警官に)少し2人にしてもらえますか?
- The officer leaves the room, then Will takes Reba's hand.
 ト書き:女性警官たちは部屋を出ていき、ウィルはリーバの手を握る
WILL: In the end, he couldn't kill you and he couldn't watch you die. The people who study this kind of thing say he was trying to stop.
ウィル:彼は結局君を殺すことができず、君が死んでいくのを見ることもできなかった。こういった犯罪を研究してる専門家は「彼は止まろうとしてた」と言ってる
REBA: Why?
リーバ:なぜ?
WILL: Because you helped him. That probably saved some lives.
ウィル:君が彼を救ったからだよ。おかげで何人もの命が助かったはずだ
REBA: I drew a freak.
リーバ:わたしはフリークスを引き寄せたのね
WILL: You didn't draw a freak. You drew a man with a freak on his back. Nothing wrong with you, don't let yourself believe there is.
ウィル:君が引き寄せたのはフリークスじゃない。背中にフリークスを背負った男を引き寄せただけだ。君は何も悪くない、自分があの場所にいると思わないで
REBA: I know there's nothing wrong with me. In making friends, I try to be wary of people who foster dependency and feed on it. I've been with a few. The blind attract them.
リーバ:わたしも自分が悪くないことはわかってるの。友達を作るとき、依存させて食いものにする人間には気を付けてる。そんな人間が数人いたから。目が見えないと彼らを惹きつける
WILL: Not just the blind. I'm coming back to see you in a day or so. I have to look at cops all the time, and I need relief; try to do something about your hair there.
ウィル:目が見えないことだけが理由じゃないさ。数日うちにまた会いに来るよ。いつも警官を見てなきゃいけないから息抜きも必要だ。あと君の髪の毛を何とかしないとね

ウィルは被害者や弱き者には本当に優しいね。ここはリーバ/ダラハイドとウィル/ハンニバルの関係性が対応していて、ウィルがリーバに共感しながら会話が進みます。ウィルはリーバを慰めながら、少しずつ自分の中のハンニバルへの思いに気づいていってる。この対応関係から考えると、ウィルは(リーバのように)ハンニバルを救うべき存在だったはずだし、ハンニバルは(ダラハイドのように)ウィルを殺すことも彼が死んでいくのを見ることもできない。

そしてリーバのお見舞いの後、ウィルはその足でボルティモア精神病院の博士のもとへ。記憶の宮殿のノルマン宮殿礼拝堂には無数のキャンドルがあり、ハンニバルがその灯りを1つずつ指で消していきます(※スクリプトでは逆に灯していく)。

WILL: Ding-dong, the Dragon's dead.
ウィル:ドラゴンが死んだ
- Hannibal's smile fades, genuinely disappointed by that news, but finding some possible shred of hope:
 ト書き:ハンニバルの笑顔は消え去り、その知らせに心から失望する。しかしズタズタにされた希望のかけらを見つけようとする
HANNIBAL: Are congratulations in order?
ハンニバル:“おめでとう、よくやった”が相応しい?
WILL: I didn't kill him. Suicide.
ウィル:僕が殺したんじゃない。自殺ですよ
HANNIBAL: Then he wasn't as strong as the Dragon after all.
ハンニバル:それなら結局、彼はドラゴンほど強くなかったわけだ
WILL: He was trying to stop.
ウィル:彼は止まろうとしてた
HANNIBAL: I was rooting for you, Will. It's a shame. You came all this way and you didn't get to kill anybody. Only consolation is Dr. Chilton. Congratulations for the job you did on him. I admired it enormously. What a cunning boy you are.
ハンニバル:ウィル、私はきみを応援していたのに。残念だよ。きみはここまではるばるやってきたのに、結局誰も殺さなかった。唯一の慰めはチルトン博士だね。きみが彼にしたことに祝辞を。大いに敬服したよ。なんて悪知恵のはたらく子だ
WILL: Are you accusing me of something?
ウィル:なにか僕を責めてる?
HANNIBAL: Does the enemy inside you agree with the accusation? Even a little bit?
ハンニバル:きみの内なる敵はその糾弾に同意してる?ほんの少しでも?
WILL: I came back to stop the Dragon. He's stopped.
ウィル:僕はドラゴンを止めるために復帰した。彼は止まった
HANNIBAL: Your family was on his itinerary. Safe now. You can go home again. If there's any point. Is there any point?
ハンニバル:きみの家族は彼の旅程に入っていた。今はもう安全だ。家に帰れる。もし意味があるなら。そこに意味はある?
WILL: I like my life there.
ウィル:僕はあの生活が好きです
HANNIBAL: It won't be the same. You'll see it's not the same. The unspoken knowledge will live with you, like unwanted company in the house.
ハンニバル:その生活はもう同じではないだろう。同じではないことをきみは目の当たりにするはず。家の中にいる望まない来客のように、語られない悪意がきみと一緒に暮らすんだ
WILL: Molly and I want it to be the same.
ウィル:モリーと僕は元通りに暮らしたいんだ
HANNIBAL: Mutual assurances you try to exchange in the dark and in the day will pass through some refraction, making them miss their mark. When life becomes maddeningly polite...... think about me. Think about me, Will, don't worry about me.
ハンニバルきみが夜に昼に交わそうとしている結婚生活という相互保証は、的を外しながらいくつもの屈折を経験するだろうね。人生が気が狂いそうに上品になってしまったら、......私のことを考えなさい。私を思え、ウィル。私のことは心配しなくていいから
WILL: You turned yourself in so I would always know where you are. You'd only do that if I rejected you. Good-bye, Hannibal.
ウィル:あなたは僕に居場所を知っておいてほしくて自首した。僕があなたを拒絶したら、あなたはそうするしかなかったんだ。さようならハンニバル
- Will turns and walks away, the doors BUZZING open.
 ト書き:ウィル、向きを変えて歩き去る。ドアが開く音
HANNIBAL: Will... Was it good to see me?
ハンニバル:ウィル、私と出会えてよかった?
WILL: Good? No.
ウィル:よかったかって?いいえ
- And Will exits, the double doors closing behind him.
 ト書き:ウィルは出ていき、二重扉が彼の背後で閉まる

はーーーーつらい。この時点ではさすがの博士もダラハイドが死んだと思ってるので、「ああこれでもうウィルに会えない」って絶望してるんですね...。ウィルがダラハイドを殺したのならウィルの中にドラゴンが住みつき、相反する2つの魂が融合した可能性はあった。でも自殺ならその望みも消えてしまった。これでしばらく、かなり長い間、もしかしたら二度と、ウィルは自分の目の前に現れないかもしれない。毎日ウィルへの飢えで突き刺すような痛みを感じ、目にするだけで満たされるのに。だから「会えないならせめて私を思え」とハンニバルは祈ってる。ウィルが上品で血の匂いのしない生活に退屈してふと自分のことを思い出すその瞬間を思って、その想像を糧にしてハンニバルは生きようとしてる。なんという妄念。

ここにきて字幕が意訳してくださっていて、アッ的確だしこなれてるし最後の「まさか」とかすごくいい訳だな!と思うんだけど、残しといてほしい意味が脱落してる...;;なんでなんだろう。わからん...。