Eat the Rude.

NBC版ハンニバルを捏ねくりまわすよ

S3E3: Secondo 彼らはお互いを受け入れてる

引き続きリトアニアのウィルとチヨ、ハンニバル、囚人をめぐる会話と、息抜きにジャックとパッツィの会話。
青字スクリプトにしかないセリフ、赤字は映像にしかないセリフです

チヨとウィルがお茶を飲みながら会話してる途中から。

CHIYOH: Hannibal took someone from you, are you here to take someone from him?
チヨ:ハンニバルはあなたから誰かを奪った。あなたは彼からその誰かを取り返すためにここに?
- The thought had crossed Will's mind.
 ト書き:その考えはすでにウィルの頭を過ぎったものだった
WILL: I've forgiven him his trespasses, as he's forgiven me.
ウィル:僕は彼の犯した罪を許した。彼が僕を許したように
CHIYOH: You're nakama. Aren't you alike?
チヨ:あなたたちは「仲間」で、似たもの同士でしょう?
- Will chews on that question, then:
 ト書き:ウィル、その質問をよく考える。そして:
WILL: If I were like Hannibal, I would've killed you already. Cooked you, ate you and fed what was left of you to him. It's what he would do.
ウィル:もし僕がハンニバルと似てるなら、とっくに君を殺してる。君を料理し、君を食べ、残したぶんはあの囚人に食べさせる。そこまでするのがハンニバルだから
CHIYOH: You've given that some thought.
チヨ:よくご存知ね
WILL: Do you know where he is?
ウィル:彼がどこにいるか知ってる?
CHIYOH: Why are you looking for him after he left you with a smile?
チヨ:あなたに笑顔を残して去ったのに、なぜ彼を捜すの?
- Will glances down at his abdomen, unconsciously.
 ト書き:ウィル、無意識に自身の下腹部を見下ろす
WILL: I've never known myself as well as I know myself when I'm with him.
ウィル:彼とともにあった時ほど、自分自身を理解できたことはなかった
CHIYOH: You won't find Hannibal here. There are places on these grounds he cannot safely go. Bad memories.
チヨ:ここでハンニバルは見つけられないわ。この土地には彼が安全に行けない場所があるから。とても嫌な記憶よ
WILL: Memories lead to more memories. What do these grounds hold for you?
ウィル:記憶は別の記憶を引きずり出す。君をこの土地に留めているものは何?
CHIYOH: Hannibal wanted to kill that man for what he did to Mischa. I wouldn't let him take his life, so Hannibal left his life with me. If I turned him in, he'd go free. If I let him go... he would kill me. Wouldn't you?
チヨ:ハンニバルはあの囚人がミーシャにしたことで彼を殺したがってた。私が彼の命を奪わせなかったから、ハンニバルは私にその命を預けていった。彼を警察に突き出しても、彼は罪を免れてた。もし彼を解放したら、私を殺してたわ。そうでしょう?
- Will doesn't respond.
 ト書き:ウィル、答えない
CHIYOH: The easiest path was to kill him.
チヨ:一番簡単なのは彼を殺すことだった
WILL: Why didn't you?
ウィル:なぜそうしなかった?
CHIYOH: Because Hannibal wanted me to.
チヨ:ハンニバルが望んでいたから
WILL: Hannibal was curious if you would kill. I imagine he still is.
ウィル:ハンニバルは君が殺すかどうか興味があったんだ。今も興味があるはず

笑顔を残して去った、ってお腹の傷の形=ニコちゃんマークのことなのか!S2E13のあのとき、ハンニバル自身は笑ってなんかないですもんね。そうするとますますウィルは何がしたいのかわからないな...。なぜハンニバル(の心の鍵)を捜すのか、結局どうしたいのか。うーん?まだだ、まだわからないぞ。

続いてはウィルのためにイタリアに来たジャックとパッツィの会話、ウィルとハンニバルに関連する部分だけ抜粋。

JACK: We imagine the possibility that we all live on after we die. Will Graham died. He was dead. I was dead. We didn't imagine that.
ジャック:人は死後も生き続ける可能性を想像する。ウィル・グレアムは死んだ。彼は死に、私も死んだ。われわれはそんなこと想像もしてなかった
PAZZI: What does Will Graham imagine now?
パッツィ:ウィル・グレアムは今なにを想像している?
JACK: I borrowed his imagination and I broke it. I'm not sure how he pieced it back together again.
ジャック:私は彼の想像力を借り、壊した。彼がどうやって自分の想像力を再構築したのかわからないんだ
PAZZI: People come here to be closer to their god. Isn't that what Will Graham was doing?
パッツィ:人は神を近くに感じるためにここへやってくる。ウィル・グレアムがしたことも同じでは?
JACK: Maybe. Will understands Hannibal. He accepts him. They accept each other. Who among us doesn't want understanding and acceptance?
ジャック:おそらくは。ウィルはハンニバルを理解して受け入れてるんだ。彼らはお互いを受け入れてる。人は誰でも理解され、受け入れられたいものだろう?

あのジャックが...ジャックの理解がおそろしく的を射ている...!あと「ウィル・グレアムは死んでいる」の意味がやっぱりよくわからないよー。

そしてウィルが牢獄の錠を開け、自由になった囚人はチヨを殺そうとし、チヨは囚人を殺す。その原因を作ったウィルをチヨが責めるシーンから。

CHIYOH: You did this. You set him free.
チヨ:やってくれたわね。彼を自由にして
WILL: You were who I wanted to set free.
ウィル:僕が自由にしたかったのは君だよ
CHIYOH: You said Hannibal was curious if I would kill. You were curious, too.
チヨ:あなたは「ハンニバルは私が殺すかどうか興味があった」と言った。あなたも興味があったのよ。
WILL: I didn't want this.
ウィル:こんなことは望んでなかった
CHIYOH: Yes, you did. You were doing what he does. He'd be proud of you. His nakama.
チヨ:いいえ、望んだの。あなたは彼と同じことをした。彼は誇りに思うでしょうね、自分の「仲間」を
WILL: Did you know? Some part of you? At some level... you knew.
ウィル:知ってただろう?心のどこかで。ある程度はこうなるとわかっていはずだ
- She studies him -- is he asking from experience?
 ト書き:彼女は彼を観察する--彼は経験から尋ねているのでは?
CHIYOH: I traded feeling frightened for feeling righteous.
チヨ:恐怖の感情と善の感情をすり替えた
- Will picks up an unbroken bottle of wine, stabs a knife in the cork and pulls it out, offering the bottle to Chiyoh. She takes it and takes a tentative sip.
 ト書き:ウィル、壊れなかったワインボトルを取り上げ、コルクにナイフを刺して引き抜きチヨに手渡す。彼女は受け取ってひと口飲む
WILL: He created a story out of events that only he experienced. "All sorrows can be borne if you put them in a story."
ウィル:彼は自分の経験したことから物語を作った。「すべての悲しみは物語、そう思えば耐えることができるでしょう?」

最後の引用はデンマークの作家、イサク・ディーネセンの言葉なんだそうです。
このくだりでチヨがウィルを(列車から突き落とすほど)恨むのはまあわかるんだけど、一応逃げ道が用意された「正当防衛」としての殺人だし自由になれたし、ハンニバルよりウィルのほうがよっぽど優しいと思うな...。
あとウィルの「僕が自由にしたかったのは君だよ」はS2E6のギデオンの「私が救いたかったのは君だ」とリンクしてるように聞こえる。

そして最後、ウィルは囚人の死体を「蛍(firefly)」にして飾ります。あれは蛍なのか!蛾かと思ってたわ。そういえばウィルが蛍に照らされる幻想的なシーンはよかったですね。そしてリトアニアにいる意味がなくなったチヨとともにイタリアに戻る。